映画ファン集合! 自分が見て感動したり、人生観を変えたような映画について語り合いたいと思います。 また、DVDのコレクション紹介とかーーーー。

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カリブの海賊の続編

パイレーツ・オブ・カリビアン/デッドマンズ・チェスト

製作年度: 2006年  3年前の前作のスタッフ&キャストが再結集した豪華な映像プロジェクト 
監督: ゴア・ヴァービンスキー 製作総指揮: ブルース・ヘンドリックス/エリック・マクレオド/チャド・オマン/マイク・ステンソン
製作: ジェリー・ブラッカイマー  ストーリー: テッド・エリオット/テリー・ロッシオ/スチュワート・ビーティー/ジェイ・ウォルパート
脚本: テッド・エリオット/テリー・ロッシオ  音楽: ハンス・ジマー
キャスト: ジョニー・デップ/オーランド・ブルーム/キーラ・ナイトレイ/ジェフリー・ラッシュ/ジョナサン・プライス/ジャック・ダヴェンポート/リー・アレンバーグ/ビル・ナイ/ステラン・スカルスガルド

 ”パイレーツ・オブ・カリビアン”は、元々3部作であるが、これほどまでに待望された続編が、これまでの映画史上にあったであろうか?
第一話の”呪われた海賊たち”のラストは、キャプテン・バルボッサの死であったがーーー。

 自由を愛する孤高の海賊、ジャック・スパロウ(ジョニー・デップ)、愛のために運命に立ち向かう若者、ウィル・ターナー(オーランド・ブルーム)、勝気だが正義感と勇気にあふれるイギリス総督の令嬢、エリザベス・スワン(キーラ・ナイトレイ)。さらに、曲者揃いのブラックパール号の海賊たち。カリブ海を舞台に、前作を凌ぐエキサイティングな冒険が、空前のスケールで展開される。
 今回の見所は、ジャック・スパロウの秘められた過去と、彼の生涯最大の敵、「深海の悪霊」デイヴィ・ジョーンズ(ビル・ナイ)との宿命の対決である。

 前作でエリザベスを助け出し、彼女との結婚式を目前に控えたウィルだったが、海賊ジャック・スパロウに加担したことを理由に二人は逮捕されてしまう。しかし、東インド貿易会社のベケット卿は、ジャックの持つ「コンパス」を渡せば二人を釈放するという。ウィルはこうしてジャックを探す旅に出た。
 一方、バルボッサからブラックパール号を取り戻し、再び船長に戻ったジャック。しかし彼は13年前、デイヴィ・ジョーンズと「血の契約」を交わしていた。その内容は、ブラックパール号の船長となる代わりに、13年経ったらジョーンズのフライング・ダッチマン号の船員として働き続けなければならないというもの。突然ジャックの前に現れたウィルの父親ビル・ターナー(ステラン・スカルスガルド)は契約の期限が迫っていることを告げる。
映画のタイトルにもなっている”デッドマンズ・チェスト”=”死者の宝石箱”とは?
そして、この宝石箱には何が隠されているのか?

 第2作”デッドマンズ・チェスト”は、前作”呪われた海賊たち”の続編であると同時に、3部作完結編への大いなる序章となっている。第2作と第3作は、同時に撮影され、新たなる展開を含め、観客に次作への期待をいやが上にも膨らませている。1作目を見た観客はどうしても続きが見たくなってしまうのだ。
 それにしても、女性たちを最も魅了する俳優となったジョニー・デップであるが、ファンが最も見たい彼の役が、この海賊であると言っても過言ではなかろう。
トレードマークのドレッドヘアと金歯、酔ったような立ち居振る舞い、人の隙を突く狡猾さ、本心を明かさない皮肉屋、コミカルにしてクールな風情ーーーデップの卓越した演技が物語をいやでも盛り上げている。セクシーなヒーローの誕生である。しかし、これまでの正義のヒーローとはかけ離れた、正体不明の個性的な役柄である。話術に長けている彼は、登場人物たちだけでなく、それを見ている我々をも、いつの間にか煙に巻いてしまう。

 自分は、”スター・ウォーズ”シリーズにおけるVFXを駆使した技術が、従来のSFを大きく変えたと思うが、”パイレーツ・オブ・カリビアン”は、海における”スター・ウォーズ”といえるであろう。デイヴィ・ジョーンズや怪物クラーケンは、まさにエイリアンさながらだ。ユニークで個性的な登場人物。
 さらに、この作品を盛り上げているのは、個性的な登場人物以外にも、「ブラックパール号」や「フライング・ダッチマン号」などの海賊船から、はたまた「アステカ金貨」、「北を指さないコンパス」、「死者の宝箱」などの小道具が重要な意味を持っている事である。リンゴやラム酒でさえーーー。
 
 ジェットコースターに乗ったような感覚のスピーディーな展開にユーモアを織り込んだ一級のエンターテインメントだ。前作になかった三角関係のロマンスも垣間見る事が出来る。エリザベスは、ハンサムで情熱的なウィルよりも、風変わりな海賊ジャックに段々魅かれて行く。

 前作のスタッフとキャストが再結集し、新たなキャストも加わり、謎も深まり、どう展開していくか分らない手に汗握る物語になっている。演出・演技・衣装・メーキャップ・小道具とすべてが完璧で、スケールも前作を大きく上回った、最高のエンターテイメントである。
デップのハマリ役 カリブの海賊

パイレーツ・オブ・カリビアン/呪われた海賊たち

製作年度: 2003年  ミステリアスな海賊役で、新たなるワイルドな魅力を発揮するデップ 
監督: ゴア・ヴァービンスキー 製作総指揮: ポール・ディーソン/チャド・オマン/マイク・ステンソン
製作: ジェリー・ブラッカイマー  ストーリー: テッド・エリオット/テリー・ロッシオ/スチュワート・ビーティー/ジェイ・ウォルパート
脚本: テッド・エリオット/テリー・ロッシオ  音楽: クラウス・バデルト/ハンス・ジマー
キャスト: ジョニー・デップ/オーランド・ブルーム/キーラ・ナイトレイ/ジェフリー・ラッシュ/ジョナサン・プライス/ジャック・ダヴェンポート/リー・アレンバーグ/ブライ・クーパー

 ディズニーランドの人気アトラクション「カリブの海賊」をモチーフに、「海賊」と「アドベンチャー」という古典的かつ普遍的アイテムに新しい息吹を与えた今世紀最大のエンターテイメントムービーのシリーズ幕開け作品である。
ハリウッドのトップ・プロデューサーであるジェリー・ブラッカイマーが、驚異のVFX映像によって、見る者を冒険とファンタジーの世界へ導いてくれる。

 17世紀、海賊たちが大海原を荒らしまわっていた遥かなる時代。カリブ海の港町ポートロイヤル。
スワン総督(ジョナサン・プライス)の一人娘エリザベス(キーラ・ナイトレイ)が極悪非道な海賊バルボッサ(ジェフリー・ラッシュ)一味にさらわれる。バルボッサの狙いは、エリザベスが身につけていた黄金のメダルだった。このメダルは、かつて海上で助けた少年ウィルが身につけていた物であった。
 一方、鍛冶屋で働く逞しい若者へと成長したウィル(オーランド・ブルーム)は、幽閉されていた元ブラックパール号船長で一匹狼の海賊ジャック・スパロウ(ジョニー・デップ)と手を組み、エリザベスの救出に向かうのだがーーー。
 かつて、ウイルが手にしていた黄金のメダルに秘められた謎とは?
何故、バルボッサはこのメダルが必要だったのか?
ウイルは果たして、エリザベスを救う事が出来るのか?
ジャックは、ブラックパール号をバルボッサに奪われ、それを奪い返すため、今ではウイルと共通の敵となったバルボッサと争う事になるが、彼の目的はそれだけなのか?

 間抜けなのか利口なのか、ウイルにとって敵なのか味方なのかも判然としない、海賊ジャック・スパロウ役を演じるデップは、この作品で新境地を開き、これが彼の代表作となる事は間違いない。
デップの古典的な海賊の衣装の着こなしと、メイクアップには目を見張るものがある。まさにデップのために作られた作品である。
 これまでデップの主演作品をレビューしてきたが、初主演の”クライ・ベイビー”、彼を世に知らしめた”シザーハンズ”、個性的な異色作”妹の恋人”や”エド・ウッド”、”ドンンファン”、”デッドマン”など。初監督作品”ブレイブ”、新境地を開いた”スリーピー・ホロー”や”フロム・ヘル”などであるが、”パイレーツ・オブ・カリビアン”は、間違いなく彼の代表作であろう。これほど見事な海賊は、デップのほかに演じられる役者はいないであろう。全編に渡り、ファニーでコミカルな海賊を演じているが、時にハッとするような表情と迫力あるアクションを魅せる。

 デップ以外の配役も完璧である。理想に燃える勇気ある若者、オーランド・ブルーム、冒険物に欠かせない男勝りの美女、キーラ・ナイトレイ、不気味で残忍な一筋縄ではいかない悪役、ジェフリー・ラッシュらもそれぞれの味を充分出している。
 物語も謎めいた、ミステリアスなノンストップ・アクションとなっている。まさに、先の展開が読めない冒険ファンタジーである。そして、17世紀へと我々を誘う素晴らしい衣装や骸骨などのCG効果。

 これ以上に、何が望まれるであろうか?
「海賊」と聞いただけで、言い知れぬロマンを感じさせる。この作品は、現代人が忘れている、夢と冒険のあの時代を思い起こさせてくれる。
映画という最高のエンターテイメントを改めて教えてくれた作品である。
史上最も悪名高い連続殺人犯、切り裂きジャック

フロム・ヘル

製作年度: 2001年 ヴィクトリア朝末期のロンドンに実在した、謎の殺人鬼切り裂きジャックをめぐるミステリー 
監督: ヒューズ・ブラザーズ  製作総指揮: エイミー・ロビンソン/トーマス・M・ハーメル/アレン・ヒューズ/アルバート・ヒューズ  
製作: ドン・マーフィー/ジェーン・ハムシャー   原作: アラン・ムーア/エディ・キャンベル
脚本: テリー・ヘイズ/ラファエル・イグレシアス  音楽: トレヴァー・ジョーンズ
キャスト: ジョニー・デップ/ヘザー・グラハム/イアン・ホルム/ジェイソン・フレミング/ロビー・コルトレーン/レスリー・シャープ/スーザン・リンチ/カトリン・カートリッジ/イアン・リチャードソン/アナベラ・アプション/ジョアンナ・ペイジ/マーク・デクスター

 1888年の秋、彼は10週間に5つの儀式的で凄惨な殺人を犯し、ロンドンの街を恐怖に陥れた。
スコットランド・ヤードの必死の捜査にも拘らず、事件は迷宮入りとなり、未だにその正体は謎に包まれている。

この「切り裂きジャック」を題材とした映画は、これまでにもいくつか作られてきているが、いくつもの犯人説が取り沙汰されている。1970年代には、王室に端を発する陰謀説まで飛び出して、人々を震撼させた。
実際にあった話だが、多くのミステリーに包まれている。

”フロム・ヘル”は、1999年にアラン・ムーアが発表したグラフィック・ノベルである。映画はこれをベースにしながら、伝説的な物語に緊張感溢れる心理描写を加え、凍りつくような恐怖の事件の謎を解き明かしていくスリラー・サスペンスとなっている。

1888年、ロンドン下町のホワイトチャペルで、5人の娼婦が次々と残忍な手口で惨殺される。喉を切り裂かれ、ダークな画面に迸る真っ赤な血。カメラワークも残酷だ。狙われるのは娼婦ばかり。事件の直後に自殺した教師や、娼婦を憎んでいたユダヤ人、ロシア人の殺人マニアなど、容疑者は15人以上にものぼったという。遺体から内臓が正確に切り取られている事から、犯人は解剖学の専門知識を有する者だとか、外科医だとか、ヴィクトリア女王の孫、クラレンス侯爵が容疑者だという説まで飛び出している。

 5人の娼婦の死体の場所が、犯人につながる重要な位置関係にある事が示されている。殺人現場は、すべて貧しい下町である。容疑者が裕福な人間だという可能性は当局によって拒否され、社会の病癖はすべて下層階級の責任とみなされていた時代であった。

 2年前に妻子をなくし、アヘンでその苦しみから逃避しているアバーライン警部(ジョニー・デップ)は、娼婦の連続殺人事件を担当する。聞き込みを続ける中、赤毛の美しい娼婦メアリ(ヘザー・グラハム)に惹かれ、やがて二人は愛し合うようになる。
メアリの仲間の娼婦が次々に殺害され、残るはメアリ一人。果して、アバーラインはメアリを守る事が出来るのか?

 どこか翳りのあるデップが、妻子を失った警部役を見事にこなしている。暗くて深い瞳の奥に憂いと知性を湛えて、静かな存在感を示している。貧しさゆえ、娼婦になるしかなかったメアリとのほのかな悲しいラブロマンスも生まれている。

 映画は、世紀末ヴィクトリア王朝の時代背景の中に秘密結社の存在、ゆがんだ格調高さをも演出している。デップが、ミステリアスな雰囲気を醸し出している事は言うまでもない。「切り裂きジャック」は、20世紀前の貧しく、退廃した時代の申し子であろうか?
2001年第73回アカデミー賞5部門ノミネート作品

ショコラ

製作年度: 2001年  すべての人を幸せにする不思議なチョコレートを売る母娘の物語     
監督: ラッセ・ハルストレム  製作総指揮: アラン・C・ブロンクィスト/メリル・ポスター/ボブ・ワインスタイン/ハーヴェイ・ワインスタイン  
製作: デイヴィッド・ブラウン/レスリー・ホールラン/キット・ゴールデン
原作: ジョアン・ハリス  脚本: ロバート・ネルソン・ジェイコブス  音楽: レイチェル・ポートマン
キャスト: ジョニー・デップ/ジュリエット・ビノシュ/ジュディ・デンチ/キャリー=アン・モス/レナ・オリン/ アルフレッド・モリーナ/レスリー・キャロン

 古くからの伝統が根付き、氷のように閉ざされたフランスの小さな村にやってきた不思議な母娘。二人は、村の人々が見たこともない美味しそうなチョコレートのお店を開店する。客の好みにピタリと合わせて勧められるチョコレートに村の人々は虜になっていき、皆の閉ざされた心を解き放っていくがーーー。

 これは、古い伝統や慣習に縛られた人々の閉ざされた心を、暖かく開いていく開拓者と、伝統・慣習を守ろうとする保守的な権威者との衝突であり、心温まる感動的なファンタジーである。
 昔から、チョコレートには、鎮静効果と共に、ちょっとした興奮作用を促すカカオも含まれている。情熱を表すものとして、ヴァレンタインデーに贈られる事になってからも歴史がある。

 冬のある日、伝統が深く根付く村に謎めいた女性ヴィアンヌ(ジュリエット・ビノシュ)が、娘と共に越してきて見た事もないような美味しそうなチョコレートで溢れたショップを開く。自分たちの好みのチョコレートを勧められた村の人々は、すっかり虜となり、カトリックの断食期間である四旬節にも、教義に反してチョコレートを食べている。村の指導者であるレノ伯爵(アルフレッド・モリーナ)は、この事実に愕然となり、村人にチョコレートショップへの出入りを禁じ、ヴィアンヌを村から追い出そうとする。そんな時、ジプシーの青年ルー(ジョニー・デップ)が村にやって来て、ヴィアンヌに好意を抱いて彼女に協力していく。村の人々は少しずつ変わっていくがーーー。

 娘(キャリー=アン・モス)と絶縁して、孫にも会えず、孤独に暮らすアルモンド(ジュディ・デンチ)や、暴力夫の元から逃げ出すジョセフィーヌ(レナ・オリン)は、ヴィアンヌのチョコレートにより、違った人生観を見出される。
その他にも、一粒のチョコレートは、倦怠期の夫婦に愛の炎を甦えさせたり、老女に恋する老紳士に秘めた恋に踏み出す勇気を与えたり、いがみあう隣人にさえ、友情を芽生えさせていく。
村にやってきたジプシーのルーは、チョコレートではなく、ヴィアンヌその人に好意を寄せて彼女の理解者となる。流れ者同士の共通点を見た二人は、自然に恋するようになる。デップは、ここでも人を魅了する優しさを演じている。ヴィアンヌは多くの村人に幸せを与えるが、それを快く思わない人間は必ずいるものだ。特に閉鎖社会においては、ルーも含めたよそ者に対しての警戒は強いものだ。そのため、ルーの舟は焼かれ、彼は去っていく。やがてヴィアンヌ母娘も村を出て行こうとするがーーー。

 一粒のチョコレートが人々に幸せを贈る、このジョアン・ハリスの原作は確かに素晴らしい。
しかし、普段見慣れている景色や人々が、少しずつ違って見えてくる映画の演出は見事だ。笑いあり、涙あり、ハラハラしたり、ドキドキしたり、チョコレートの温かい雰囲気に包まれ、素晴らしい音楽に酔っている内に、いつのまにか映画の世界に引きずり込まれ、見終わった後に幸せな気分を感じさせられた。

 まさに、チョコレートの甘さと苦さを味あわされる作品である。
定住者から漂流者への憧れ、また逆に漂流者から定住者への憧れが、見事に表れている。保守的な考えと斬新な思考、伝統と変化、自由と戒律、情熱とモラル、愛と憎しみ。相反する事象が、常に対称されているのだ。
この物語に、悪人は登場しない。衝突は、考え方の相違だけであり、それぞれのキャラクターが、生きて描かれている。ラッセ・ハルストレム監督は、すべての登場人物に、命を吹き込んでいる。

 物語は、たまたま麻薬のようなチョコレートを題材にしているが、ヴィアンヌやルーは、何者なのであろう。
自由人の彼等は、我々現代人に忘れたものを思い出させる、伝道師のような役割ではなかろうか?
とにかく、ほんのりとした甘いチョコレートの香りが、暖かく包み込み、上質に料理された見事な作品である。
ファンタジーでありながら、真実を語っている。見た者を、優しく幸福な気分にさせてくれる。
アメリカ裏社会に君臨した男、ジョージ・ユング

ブロウ

製作年度: 2001年  ドラッグ・マーケットを描いた、アメリカン・カルチャーの舞台裏       
監督: テッド・デミ  製作総指揮: ジョルジア・カサンデス  製作: テッド・デミ/デニス・レアリー/ジョエル・スティラーマン  原作: ブルース・ポーター  脚本: デイヴィッド・マッケンナ/ニック・カサヴェテス  音楽(挿入曲): ローリング・ストーンズ/クリーム/フェイセズ/マンフレッド・マン/ボヴ・ディラン/レイナード・スキナード/KC&ザ・サンシャイン・バンド/マーシャル・タッカー・バンド他
キャスト: ジョニー・デップ/ペネロペ・クルス/ポール・ルーベンス/フランカ・ポテンテ/レイチェル・グリフィス/レイ・リオッタ

 デップが演じるジョージ・ユングとは、1970年代に実在した麻薬ディーラーである。つまり、この作品は実話を元にアメリカ裏社会を描いた、アメリカンカルチャーの舞台裏ドラマである。
監督のテッド・デミは、若くして伝説的な麻薬ディーラーにのし上がったユング(ジョニー・デップ)の驚くべき、かつ人間的な一代記を描く事で、アメリカンドリームや悲痛な愛のドラマを引き出している。
これは、単なる「麻薬撲滅運動」のメッセージやコカインを巡るアクションの素材とは、異にした人間ドラマである。

 ”ブロウ”とは、マリファナやコカインなどのドラッグ吸引を意味する俗語であるが、人生の満開状態でもあり、また奈落への運命の一撃をも意味している。

 幼少時代、極貧を経験したジョージ・ユングは、1960年代後半、カリフォルニアでドラッグの密売をはじめ、みるみる商才を発揮してのし上がってゆく。一時は、投獄されながらも、獄中で裏社会の大物に出会い、彼の信頼を得たことで、ユングの名はますます轟くことになる。70年代後半、彼の提供するコカインはバブル期のアメリカにおいてパーティー・ライフの必需品と化した。またその頃、マーサ(ペネロペ・クルス)に出会い、2人は結ばれ娘をもうける。成功してからの彼は、裕福で派手な生活をしていたけれど、不安定であったし、後ろめたさと一緒に生きていた。

 結局、ユングの人生は、80年代に入ってから凋落していく。彼は熱烈に娘を愛するが、足を洗おうとしても裏社会から抜け出せず、何度も服役し、妻と娘の愛を失う。晩年、彼が気付く「家族の大切さ」。それは、彼がいくら大金を手にしても、手に入れられなかった本当の幸せである。「金なんて幻だ」と言った父親の言葉が実に印象的だ。この父親の言葉を理解するまでに、何十年もの歳月を要し、「命を浪費してきた」と悔いることになるユングの人生は、あまりに切ない。
 彼は今も実際服役中。2014年までの服役となっている。ある日、初めて面会に来てくれた娘を抱きしめるのだが、それは幻だった。

 若き日のユングを演じるデップ。60年代に流行したマッシュルームカットが良く似合い、セクシーである。
自分のレビューでもこれまで紹介した”エド・ウッド”と”フェイク”に続き、実在の人物を演じたデップであるが、無理なくそれらの人物に成り切ってしまうのが、彼の妙である。しかも、重々しくならず自然にクールに演じる所が、カメレオン役者と称される由縁であろう。

 一方、ユングの妻マーサを演じるペネロペ・クルスも自分の好きなサルマ・ハエックと並ぶスペイン系美人女優である。トム・クルーズやニコラス・ケイジなどの大物男優と共演している。

 この作品は、アメリカの70年代を背景にしているが、この時代にコカインが急速に広まった理由として、相次ぐ要人の暗殺、ベトナム戦争の泥沼化などによる60年代の閉塞感から逃れるためのマリファナというドラッグから、より洗練されたイメージを持ち、かつ、より危険なドラッグが好まれるような「カウンター・カルチャーの成熟」が挙げられると思う。
 時代は、喧騒な60年代、荒削りなものから宴の後として、洗練されたものや肩の力を抜いたものを求める時代へと移行していったのである。

 ユングが、ドラッグ・ビジネスの成功への第一歩を踏み出したのは、解放感に溢れたウエスト・コーストの地であった。当時の西海岸は「アメリカン・ニューシネマ」時代に入りつつあったハリウッド映画産業界や音楽界でも多くのシンガー・ソングライターを生みだした。その背後にドラッグ・カルチャーがあった事は、広く知られている事実である。
「アメリカン・ニューシネマ」の代表作”イージー・ライダー”は、コカイン取引から始まっているし、70年には、ロックの女王ジャニスジョプリンやドアーズのジム・モリソンが、ドラッグの摂取過剰で、この世を去っている。
 
 ジョージ・ユングの旅は、60年代の純真さから70年代の退廃、そして80年代以降の報いと償いへと続いた。こうした変遷を演じるデップ。全編に流れるロックの音楽と共に、まさに自分が生きてきた時代を一大叙事詩として語り尽くした作品である。
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