映画ファン集合! 自分が見て感動したり、人生観を変えたような映画について語り合いたいと思います。 また、DVDのコレクション紹介とかーーーー。

2017/101234567891011121314151617181920212223242526272829302017/12

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
ありきたりな日常生活を侵食する、魅惑のミラクル・

ワールド


チャーリーとチョコレート工場

製作年度: 2005年 噂の極秘チョコレート工場が、ついに世界に公開される。
監督: ティム・バートン 製作総指揮: パトリック・マコーミック/フェリシティー・ダール/マイケル・シーゲル/グレイアム・バーグ/ブルース・バーマン 製作:リチャード・D・ザナック/ブラッド・グレイ 脚本: ジョン・オーガスト 原作: ロアルド・ダール 音楽: ダニー・エルフマン
キャスト: ジョニー・デップ/フレディー・ハイモア/デヴィッド・ケリー/ヘレナ・ボナム=カーター/ノア・テイラー/ミッシー・パイル/アナソフィア・ロブ/ジェームズ・フォックス/ジュリア・ウィンター/アダム・ゴドリー/ジョーダン・フライ/フランツィスカ・トローグ ー/フィリップ・ウィーグラッツ/ディープ・ロイ/クリストファー・リー

 昨年のバレンタインの前には、デップ出演の「ショコラ」をレビューしたが、今年は、「チャーリーとチョコレート工場」を紹介する。
 
 この作品のオリジナルは、1971年に制作された「夢のチョコレート工場」で、34年ぶりのリメイク版となる。
原作は、ロアルド・ダールが著した「チョコレート工場の秘密」である。同書はイギリスで子供が好きな本として、「ハリー・ポッター・シリーズ」、「指輪物語」に次ぐロングセラー小説として、長い間読み続けられている。
子供だけでなく、一度読んだら忘れられない強烈なインパクト、ひと癖もふた癖もある登場人物たち、容赦のないブラックユーモアは、大人をも夢中にさせる。

 この名作に、バートン&デップのコンビが、映画として4回目のコラボを組み、挑んだ訳である。同コンビは、「シザーハンズ」、「エド・ウッド」、「スリーピー・ホロウ」(いずれも紹介済み)でタッグを組み、すべて成功している。
デップもバートンと巡り会わなけれが今日がないと言っても過言ではなかろう。

 「ウォンカ製の板チョコに入った”金のチケット”を引き当てた5人の子供とその保護者を、チョコレート工場に招待する」
と、工場主のウィリー・ウォンカ氏(ジョニー・デップ)が声明発表した。
世界中の子供たちが、競ってチョコレートを買い漁り、”金のチケット”争奪戦が始まった。
 なぜなら、毎日大量に出荷され世界中で飛ぶように売れているウォンカのチョコレートであるが、この15年間、運搬車を除けば、工場に入った者も、出て来た者もいないのであった。
チョコレート工場の中はどうなっているのか、世界中の関心事であったのだ。

 世界中が注目する中、次々と現れる当選者たち。
1人目は、食い意地の張った食いしん坊の肥満児オーガスタス・グループ(フィリップ・ウィーグラッツ)。毎日チョコレートを食べまくって、最初のチケットをゲットした。
2人目は、大金持ちの我儘娘ベルーカ・ソルト(ジュリア・ウィンター)。父親(ジェームズ・フォックス)の財力にものを言わせて、チョコレートを買い占め、金に飽かせてチケットを買い上げた。
3人目は、あらゆる賞の獲得に執念を燃やす賞獲り少女バイオレット・ボーレガード(アナソフィア・ロブ)。常に勝つ事をけしかけるステージママ(ミッシー・パイル)とタッグを組んで、チケットを奪取した。
4人目は、ゲームおたくの少年マイク・ティービー(ジョーダン・フライ)。天候と株価の動きを参考に生産日からチケットの所在を確定し、チョコレートをたった1枚買っただけで当てた。
残ったチケットは1枚。最後のくじを引き当てる幸運な子は?

 チャーリー・パケット少年(フレディー・ハイモア)の家の貧しさといったらそれは悲惨なものだった。傾き、今にも壊れそうな小さな家に、一家7人で暮らすパケット家。失業中の父(ノア・テイラー)と母(ヘレナ・ボナム=カーター)に祖父母が二組。4人の祖父母は、ほぼ寝たきり老人で、家に一つしかないベッドに互い違いに横たわっていた。食事といえば、水で薄めたキャベツのスープ。
 でもチャーリーは幸せだった。年に一度、誕生日に買って貰える大好きなチョコレート。それを1カ月かけてチビチビと少しずつ食べるのだった。
そんなチャーリーが、最後の一枚のチケットを手にするのは絶望的だった。ところが、道端で拾ったお金でチョコレートを買うと、最後のチケットがチャーリーに転がり込んできた。寝たきり祖父母の一人で、昔はチョコレート工場で働いていたジョーおじいちゃん(デヴィッド・ケリー)は、当選の知らせに、生き返ったようにベッドからとび起きた。

 こうして、当選した5人の子供たちが、保護者に付き添われてチョコレート工場の前に立った。出迎えたのは、15年も工場に引きこもっていた伝説の工場主ウォッカ氏。前髪を揃えたオカッパ頭にシルクハット、真っ白い顔に笑顔を浮かべて、工場見学の案内役を務めた。
そこで、一同が目にした光景はーーー。流れるチョコレートの川、ねじれたキャンディー棒の木、ミント・シュガーの草花、砂糖菓子の船、そこで働くウンパ・ルンパ(ディープ・ロイ)たち。

このチョコレート工場の秘密とは?
個性派揃いの、5人の子供たちを待ちうけている彼等の運命とは?
果して、”金のチケット”は、本当に彼等に幸運を呼ぶのか?

 まず、原作のイマジネーションに驚かされる。それを具体的に映像化する鬼才バートン。ウォンカの不思議な世界を十分堪能して頂きたい。
工場の中には色んな部屋があり、どの部屋にもこだわりがある。CGも使われているが、実際に作られたセットが凄い。極彩色のミラクルワールドだ!
鮮やかな色彩のおとぎの国、まるでオモチャ箱をひっくり返した楽しさ、部屋にある仕掛けの数々、チョコレートを作るウンパ・ルンパとは?

 ファンタジーの世界が、色彩とミュージックで繰り広げられる。子供たちのまつわるテーマ曲も作られている。エスニック調、ファンク調、フォークソング調、ロック・オペラ調ーーーまるで違うメロディ・ラインを生み出し、子供たちの個性を演出している。

 そして、時折、遠くを見るような寂しげなウォンカ氏の横顔。彼の胸に去来するものは何?
スポイルされる子供たちに向ける意地悪な視線。デップはこの作品でもエキセントリックなウォンカ氏の役を見事にこなしている。どうして、ウォンカ氏がエキセントリックな人間になってしまったのか?
15年間も人前に姿を見せなかった訳は?
その辺は原作になかったものを付け足したという。
チャーリーを演じるハイモア少年とは、「ネバーランド」で、デップは共演している。

 世界一オカシな工場見学へ、貴方も参加して欲しい。日常では考えられない魅惑の世界へ旅立てる。色んなレシピの中で、感動という隠し味も味わえるはずだ。
ミステリー作家の第一人者スティーブン・キングが

描く謎の世界にディップが挑む


シークレット・ウインドウ

製作年度: 2004年 小説家モート・レイニーをめぐる8つの謎とは?
監督: デビッド・コープ 製作総指揮: エズラ・スワードロウ 製作:ギャビン・ポロン 脚本: デビッド・    コープ 原作: スティーブン・キング 音楽: フィリップ・グラス
キャスト: ジョニー・デップ/ジョン・タトゥーロ/マリア・ベロ/ティモシー・ハットン/チヤールズ・S・         ダットン

 物語の始まりは、ひとつの盗作疑惑であった。小説家モート・レイニー(ジョニー・デップ)の生活は、戸口に立つ男の「お前は俺の小説を盗んだ。」という一言から、崩れ始めた。男の名前は、山高帽をかぶったジョン・シューター(ジョン・タトゥーロ)、自分が執筆したという原稿の束を残していった。
レイニーは、妻エイミー(マリア・ベロ)に浮気され、別居中で離婚協議による疲労のため、公私共にスランプに陥っていた。
 小説家が売れ、世間に名が知られると誰かがちょっとしたトラブルを持ち込んでくる事は、よくある話である。男が残していった原稿のタイトルに、レイニーは覚えがなかった。しかし、紙面に目を落すと、それは彼が書いた文章だった。
 再びシューターがレイニーの前に姿を現し、「あれは俺が先に書いた。」と、言い寄る。レイニーが、”秘密の窓”を執筆したのは、1994年の暮れで、翌年6月に雑誌”エラリー・クィーン・ミステリー・マガジン”に掲載されていた。しかし、シューターは「別れた女房からその雑誌を送らせて証明しろ。」と脅し、警告のためレイニーの愛犬を刺し殺した。

 レイニーは、探偵をしている友人ケン・カーシェ(チヤールズ・S・ダットン)に調査を依頼する。シューターの顔はレイニーしか知らないが、彼とシューターとが話している所を車で通りかかったトムに会う事をカーシェは決める。
 翌日、別居中のエイミーの家が全焼し、証拠となる雑誌は灰になってしまった。さらに、シューターの目撃者トムと探偵カーシェも殺された。シューターがレイニーに要求してきた事は、小説の結末を書き換え、シューターの名前で再出版せよというものであった。

 レイニーを演じるデップは、一見、何の変哲もない作家の役をこなしているようにも思えるが、謎が解けてくるにつれ、彼の演技の醍醐味が出てくる。この作品は、盗作疑惑の脅迫により追い詰められていく人気作家の苦悩を描いたミステリーであるが、レイニー自身を知る上で、以下の8つの謎が散りばめられている。
1.”秘密の窓”は、どうやって盗作されたのか?
2.1日16時間の睡眠。レイニーは眠り続けていただけなのか?
3.レイニーが、1人だけの時にシューターが現れるのは何故?
4.レイニーが眠っている間にだけ、すべての事件が起きるのは何故?
5.殺されたトムがシューターを目撃しなかったのは何故?
6.レイニーはタバコを吸わないのに、店員がタバコを勧めるのは何故?
7.出版社から送られてきた昔の雑誌の小説ページが切り取られていたのは何故?
8.レイニーがシューターの山高帽をかぶっているのは何故?

 この8つの謎の中に、この作品の結末が予告されている。そして、作品のタイトルになっている「シークレット・ウインドウ」の意味が。実に計算されている。スティーブン・キングのミステリー&恐怖の世界をデップは堂々と、そして緻密に演じているのである。場面の一コマも見落としてはならない。所々に伏線が貼られているのだからーーー。

 妻に浮気されて、山小屋に閉じこもり、スランプに陥りながらの執筆活動。妻の浮気相手への憎悪を剥き出しの不気味な雰囲気。盗作を言いつのるシューターへの脅え方、周囲の人間に接するおどおどした態度。いかにも危なっかしい。デップ自身が、こうしたアブなっかさをスクリーンに登場させている。だから、観客は彼に感情移入してしまう。デップはどんな人間にも変身でき、その人間になりきってしまうが、色んな性格をもちあわせる多面的な稀有な役者である。おそらく、偏執狂的なほどの凝り性で、こよなくダークな世界やユーモアを好む一方、ロマンチストさをも持ち合わせている。
「ピーターパン」に秘められた劇作家と少年の実話

ネバーランド

製作年度: 2004年 ピーターパンのモデルとなった少年と劇作家の感動作
監督: マーク・フォースター 製作総指揮: ボブ・ワインスタイン/ハーヴェイ・ワインスタイン/ミシェ      ル・サイ/ゲイリー・ビンコウ/ニール・イスラエル  製作:リチャード・N・グラッドスタイン      / ネリー・ベルフラワー  脚本: デイヴィッド・マギー 音楽: ヤン・A・P・カチュマレク
キャスト: ジョニー・デップ/ケイト・ウィンスレット/ジュリー・クリスティ/ラダ・ミッチェル/ダスティ        ン・ホフマン/フレディ・ハイモア/ジョー・プロスペロ/ニック・ラウド/ルーク・スピル/        イアン・ハート/ケリー・マクドナルド      

 ネバーランドーーー決してどこにも存在しない国。そこに住むピーターパンは永遠に年を取らない冒険好きな純粋な少年である。世界中の誰もが知っているこのピーターパンには、モデルとなる少年の存在があった。少年ピーター・ルウエリン・デイヴィズ(フレディ・ハイモア)と劇作家バリ(ジョニー・デップ)との出会いの背景にもう一つの愛のドラマが存在していた。

 1904年、12月27日にロンドンで初めて「ピーターパン」が上映された。これは、その陰で子供のように夢見る心を持ち続ける劇作家バリと、彼によって夢を信じる心を取り戻していくデイヴィズ家の三男ピーター少年。二つの純粋な魂の触れ合いを描いた愛と感動のドラマである。

 ロンドンのケンジントン公園へ日課の散歩に出かけたバリは、若く美しい未亡人のシルヴィア(ケイト・ウィンスレット)と彼女の息子たちであるデイヴィズ家の四兄弟と出会う。中でもバリが関心を寄せたのは、父の死後夢や希望を持つことをあきらめた三男ピーターの存在であった。
一人で心の傷を負ったピーターに空想の世界で遊ぶことの楽しさと物を書くことの喜びを教えるバリ。彼と母親シルヴィアの深い愛情に包まれながら、ピーターは少しずつ子供らしい純粋さを取り戻していくのであった。

 ピーターに幼い頃の自分自信を重ね合わせながら、二度とない子供時代の素晴らしさを伝えるバリ。二つの繊細な魂の触れ合いから、「ピーターパン」のドラマが誕生して行く過程を描いている。
そして、病に侵され母シルヴィアを失うピーターに、「愛する者を心の中のネバーランドに旅立たせる」事を教える。夢を信じる事の大切さをテーマにした「ピーターパン」の物語が、喪失の悲しみの中から生まれたという事実が、深い感慨を呼び起こす。

 子供のように無垢な心を持ち、ピーターたち兄弟に惜しみない愛情を注ぐバリ役デップの演技には、優しさが満ち溢れている。現実に目を向けない夫バリに愛想を尽かし、心の通いを失くした妻メアリー(ラダ・ミッチェル)とは、対称的なシルヴィアに心を魅かれるが、恋愛感情を超越したプラトニックな愛の絆で結ばれる姿をごく自然に演じている。彼の周りには、気品と優しさ、そしてユーモアが溢れている。
最初のうち、シルヴィアの母モーリエ夫人(ジュリー・クリスティ)は、毎日子供たちと遊び呆けるバリに対して、娘シルヴィアに近づくためだと警戒するが、段々彼の純粋さが分って来る。バリーの愛は、すべてを超越した人間愛なのだ。デップの人柄からそれがヒシヒシと伝わってくる。

 この作品は、「ピーターパン」の生誕100周年を記念して造られたが、それにふさわしい作品となった。デップとピーターの子役ハイモアの演技が光るが、先に述べたシルヴィアのは早くクリスティーの他、バリの友人役イアン・ハートや、大物プロデューサー役ダスティン・ホフマン等ベテラン個性派俳優陣が見事に脇を固めている。

 最後に、”ネバーランド”とは?ーーーバリ役デップの言葉を借りれば、「そこは夢がかなう場所なんだ。信じれば必ず行ける。」---現代人が忘れていることであり、現代人では決して行けない場所なのであろう。
エル・マリアッチ・シリーズの最終章

レジェンド・オブ・メキシコ

製作年度: 2003年 2つの町を始末した伝説の男、エル・マリアッチのハードアクション第三弾 
監督: ロバート・ロドリゲス 製作: ロバート・ロドリゲス/エリザベス・アベラン/カルロス・ガラルド
脚本: ロバート・ロドリゲス 音楽: ロバート・ロドリゲス/アントニオ・バンデラス/ジョニー・デップ
キャスト: アントニオ・バンデラス/ジョニー・デップ/サルマ・ハエック/ミッキー・ローク/エヴァ・メン       デス/ウィレム・デフォー/ルーベン・ブラデス/ダニー・トレホ/エンリケ・イグレシアス/マ       ルコ・レオナルディ

 1992年、メジャー・スタジオの配給作品としては、”史上最低の製作費”(7000ドルと言われている)となった「エル・マリアッチ」ロバート・ロドリゲスは、長編映画の製作デビューをしている。彼はこの作品で、製作のみならず、監督・脚本・編集・録音もこなしている。キャストも彼の友人で固め、ほとんどが素人で、当然メジャーな俳優は出演していない。
徹底して製作費を切り詰めた割には、中々の出来で、サンダンス映画祭の観客賞を受賞している。

 同作品の第二弾として、主役の殺し屋エル・マリアッチにアントニオ・バンデラスを迎え、彼の恋人役にサルマ・ハエック、町のボスの集金人役としてクエンティン・タランティーノもゲスト出演している。
また、「エル・マリアッチ」を観た個性派俳優スティーブ・ブシェミもロドリゲスに自らの出演を志願した。
こうした豪華キャスト陣と予算をかけたド派手なガン・プレー・アクションで第二弾「デスペラード」は大ヒットした。

 そして、エル・マリアッチ・シリーズの最終章が今回紹介するこの作品、「レジェンド・オブ・メキシコ」である。脇役ではあるが、この作品に我らがジョニー・ディップも出演しているのである。
主役のマリアッチには、第二弾に続いてバンデラス、彼の妻になったハエック、ディップは悪徳CIA捜査官役である。その他、麻薬組織のボスにウィレム・デフォー、組織の幹部にミッキー・ロークと、そうそうたる顔ぶれである。大ヒット作「ニュー・シネマ・パラダイス」で、主人公トトの青年時代役をやったマルコ・レオナルディもマリアッチの相棒役として出演している。

 舞台は、クーデターに揺れるメキシコ。情勢を鎮圧するため、奮闘するCIA捜査官サンズ(デップ)であるが、彼は任務を利用して私腹を肥やそうと企む。
酒場で、2つの町を始末した伝説の男、エル・マリアッチ(バンデラス)の話を聞き込んだサンズは、マリアッチに近づき、「クーデターがあり、マルケス将軍がメキシコ大統領の暗殺を計画している。将軍に権力を渡す訳にはいかない。」と、将軍殺害をマリアッチに依頼する。マリアッチは報酬のためでなく、将軍に殺された彼の妻カロリーナ(ハエック)と子供の復讐のために将軍を殺す決意をする。

 しかし、将軍を裏で操っているのは、麻薬王のバリーニョ(デフォー)であった。バリーニョが将軍に多額の金を渡し、大統領の暗殺を依頼したのであった。サンズの真の目的はこの金を強奪する事であった。
次にサンズは、元FBI捜査官のラミレス(ルーベン・ブラデス)にもバリーニョの動きを探るための調査を依頼した。ラミレスは同僚をバリーニョに殺された事で、彼を逮捕したがっていた。現役のFBIと偽り、組織の幹部であるビリー・チェンバーズ(ミッキー・ローク)に近づく。ビリーは組織を抜けたがっており、ラミレスへの協力を約束する。

さらに、サンズはAFNの女性捜査官アヘドレス(エヴァ・メンデス)まで巻き込み、(彼女はサンズの恋人)バリーニョを逮捕させ、クーデターの裏で動く金を奪おうとしていた。

 それぞれの登場人物が、各々の思惑で迎えた11月2日”死者の日”クーデター勃発の寸前に、サンズはバリーニョに捕えられーーー。
マリアッチは、祖国と妻子の復讐のために立ち上がる。クーデターを企む者と阻止しようとする者、クーデターで動く大金を狙う者、組織から抜け出そうとする者、同僚の復讐を誓う者、それぞれの想い、思惑が絡み合う運命の日。メキシコを揺るがす激戦が火蓋を切る!

 圧巻は、ラストの銃撃線であるが、そこにたどり着くまでの各人の心理描写が見事に描かれている。それぞれの役者が、役回りの人物の性格・思考・行動パターンをあまりなく演じ、人物の個性が良く分る。そこには、生きている人間そのものが演出されている。人間性が表れない単なるドンパチ物はつまらないものである。
それぞれが哲学を持ち、生きる目的がある。善玉も悪玉もーーー。
デップは非情な冷血漢を演じている。デフォーは、悪の大物役を演じているし、エヴァは女性捜査官ならではの心理状態をみせている。ハエックには、愛する者への愛おしさを感じるし、それに応えるバンデラス。友情のため死をも恐れぬ彼の相棒二人、人の良さを魅せるブラデス、悪人ながら憎めないローク。
それぞれの人物全員の個性が描かれている作品も少ないと思う。

 この作品の根底に流れているのは、舞台はメキシコでも、”マカロニ・ウエスタン”だと思う。そこには、ロドリゲスが敬愛しているマカロニ・ウエスタンの巨匠セルジオ・レオ―ネの影響が強く感じられる。
 しかし、マカロニでは登場人物全員の人物は描かれていない。そういった意味では、この作品は、マカロニ風ではあるが、より人物描写に力を入れたマカロニを遥かに凌ぐ作品であると思う。

 また、通常シリーズ物は、回を追うに従い、落ちていくものだが、この作品は、「マリアッチ」の集大成となっている。7000ドルという低予算から始まったこのシリーズであるが、回を追うごとに迫力を増すばかりでなく、人間の持つ幅の広さに焦点を当ててきている。
人間というものを非常に考えさせられた作品であった。
製作・監督・脚本と音楽までこなすロドリゲスの才能には脱帽である。セルジオ・レオ―ネの愛弟子であるクリント・イーストウッドを思い起こさせた。
なお、この作品中に流れる音楽は、他にもデップもバンデラスも作曲し、ハエックはヴォーカルまで取っている。
カリブの海賊の最終編

パイレーツ・オブ・カリビアン ワールド・エンド

製作年度: 2007年 前作で仕掛けられた謎・伏線がついに結実。同じスタッフで3部作の完結! 
監督: ゴア・ヴァービンスキー 製作総指揮: ブルース・ヘンドリックス/エリック・マクレオド/チャド・オマン/マイク・ステンソン
製作: ジェリー・ブラッカイマー  ストーリー: テッド・エリオット/テリー・ロッシオ/スチュワート・ビーティー/ジェイ・ウォルパート
脚本: テッド・エリオット/テリー・ロッシオ  音楽: ハンス・ジマー
キャスト: ジョニー・デップ/オーランド・ブルーム/キーラ・ナイトレイ/ジェフリー・ラッシュ/ジョナサン・プライス/ジャック・ダヴェンポート/トム・ホランダー/ビル・ナイ/チョウ・ユンファ

 ジョニー・デップの主演作品を古い順にレビューしてきたが、彼の最高傑作の3部作が、3週に渡ってテレビ放映された事は、全くの偶然である。バレンタインデーが近づいた時に、”ショコラ”を書き、テレビ放映と同時に”カリブの海賊シリーズ”を書けた事は幸運であった。運命的なものも感じる。(笑)
 
 とにかく、”カリブの海賊”は、全世界を熱狂させた空前絶後のスーパーエンターテイメントである事は疑う余地もなかろう。シリーズ3部作がここに完結する。
 このシリーズは壮大なストーリー展開で、1部のラストに2部の、2部の終わりに3部への伏線が散りばめられている。つまり、1部がヒットしたから続編が作られるという最近の映画とは、構想自体が異なるのだ。

 完結編の舞台は、カリブからアジア、そして前人未到のワールド・エンド(世界の果て)へ。滅亡の危機に追い込まれた海賊たちは、世界各地の海を納める「伝説の海賊」たちの名のもとに集結し、海賊史上類のない決戦のために立ち上がる。
自由を愛する孤高の海賊ジャック・スパロウ(ジョニー・デップ)、海賊の血を引く情熱家ウィル・ターナー(オーランド・ブルーム)、そして海賊の魂を持つ令嬢エリザベス・スワン(キーラ・ナイトレイ)、愛すべきヒーローたちが、シリーズのクライマックスに向けて、最後の冒険へと旅立つ。

 第1作目で不死身の海賊キャプテン・バルボッサ(ジェフリー・ラッシュ)からブラックパール号を奪い返したジャック。第2作目では、「深海の悪霊」デイヴィ・ジョーンズ(ビル・ナイ)が操る「深海の魔物」クラーケンの餌食となってしまったジャック。
 そして、シリーズ3部作の完結編。自由を謳歌し、7つの海を駆け巡った海賊の時代は終わりを告げようとしていた。世界制覇をもくろむ東インド貿易会社のベケット卿(トム・ホランダー)は、デイヴィの心臓を手に入れ、彼と幽霊船フライング・ダッチマン号を操り、海賊たちを葬っていく。今や海賊たちが生き残る道は一つ。9人の「伝説の海賊」を招集し、世界中の海賊たちを蜂起させ、命運をかけた決戦を挑むだけであった。しかし、鍵を握る9人目の「伝説の海賊」こそ、死んだと思われるジャックその人であった。

 シリーズ3部作のタイトルが謎に満ちている。”呪われた海賊たち”、”デッドマンズ・チェスト(死者の宝箱)”、”ワールド・エンド(世界の果て)”。どういう事でタイトルを付けたかが、重要な意味を持っている。
すなわち、何を食べても、何を飲んでも味が分らず、死者となっても生き続ける”呪われた海賊たち”。
この死者たちをあの世に導くための使命を女神カリプソから与えられながら、それを怠り、怪物にされてしまったディヴィ。愛する女性のため、傷だらけの心臓をえぐり出し、隠したのが”デッドマンズ・チェスト”。
この心臓を奪って、ディヴィを操るペケット卿。
ペケット卿と最後の決戦の場として「伝説の海賊」たちが選んだ場所が、”ワールド・エンド”。

 シリーズの流れは、最後の決戦の場へと導かれる。
果して勝敗は?
海賊たちの運命は?
第2話のラストで復活したバルボッサのように、ジャックも復活できるのであろうか?
ウィルとエリザベスの恋の行方は?
すべては見てのお楽しみである。

 謎が謎を呼ぶ一流のエンターテイメントである。すべての謎はこの完結編で解き明かされる。1部にも2部にも、その伏線が張り巡らされている。1作ごとにたくましくなっていく、ウィルとエリザベス。相変わらずとぼけているジャック。個性豊かな3人の主人公を中心に愛すべき海賊たち。一大アクションとなっているが、自分は敢えてこの作品をファンタジーに分類した。悪人のようで憎めない海賊たち。海賊魂を身につけて行くエリザベスも含んで、全編に漲る夢とロマンの冒険だからだ。
 エリザベスは、純粋で献身的に彼女を愛するウィルを愛しながらも、ジャックに魅かれて行く女心。貞淑な令嬢の姿と、スリルと危険を好む姿との常に2面性を持っているのだ。

 デップがこれまで演じてきた役の集大成が、海賊ジャック・スパロウだと言えよう。常識的な世界から外れていて、少年の心を持ち続けるキャラクターを独特の個性で見せてくれる。演技をしているというより、この個性こそデップそのものなのだ。アウトサイダー的な役柄を寡黙な演技で見せてきたが、常識にとらわれず、自由に生きて行くキャラクターが実に良く似合う。まわりと比べるとずれているが、実は自分なりの夢や信念を心の底に抱いている。日本人には絶対いないタイプだ。
 
 編んだ髪に赤いバンダナをかぶり、目には濃いメイクをほどこす。何とも奇妙な印象の顔立ちだ。キャラクターも、とらえどころがない。善人なのか悪人なのか?本心もハッキリつかめない。間を外したような話し方は、マヌケな印象もするが、窮地に立たされると、巧みな話術でまわりを自分の世界に引き込んでいく。ずるいようで、人助けもする。
奇妙でありながら魅力的なジャック。デップがジャックを演ずる事で、キャラクターに独特のカリスマ性を生み出している。
 ジャック・スパロウは、デップが演じた事によって、永遠に語り継がれる海賊の中の海賊となったであろう。
ジャックのメイクが、ローリング・ストーンズのギタリストであるキース・リチャードに影響された事は有名な話であるが、そういえばストーンズも正統派のビートルズに比べて異端児であった。


上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。